荒川さん(50)は、印刷会社でのデザイン業務をされているベテラン職員。
今回は、印刷会社のデザイン業務がどのような仕事かアドバイスをいただきました。
1.印刷会社でのデザイン業務を担当!
DTPと言うベースの中で、多岐に渡って、紙媒体向けの広告を作成しています。
大体が一気通貫と言いますか、
- 自分で作成
- 印刷に回す
- 写真の色補正を行う
この流れのデジタル部分は、大体、携わっていますね。
2.年収はあまり期待できない
現在のDTP業界は、恐らく過渡期なので、収入はそんなに良くありません。
ただ、スキルが認められると、手当が増えていく事もありますし、オペレーションからディレクションの立場になりますと、また収入は増えると思います。
最初のベース自体、安価で300万円半ばからのスタート。
「大きな案件を任される=スキル・信頼が上がっている」と言う事で、少し上がることもありますが、基本は好きでやる仕事だと思います。
3.イメージを具現化できるかがポイント!
デザインと言う分野は、きっと広告も建築も一緒だと思うのですが、更地から自分のイメージした形を完成させる作業になります。
完成するまでの苦労と達成感は、仕事の大小関係なく、やりがいと誇りを感じますね。
相手の頭の中が見えるわけではないので、相手の意向・イメージをどこまで、自分のイメージと重ね合わせ、具現化出来るかが大きなポイントになります。
相手の想像以上のものを作れるかが、この仕事の醍醐味ですね。
また、作品は劣化していきますが、歴史の証として形として残ります。
色んな仕事に携わると、様々なゴールへの道があるので、新しい道が出来た時の喜び、自分の伸びしろが発見でき、成長を感じられます。
それは、歳は関係なくです。
積み重ねた経験と自分のイメージを組み合わせ、思考しながら、組み立てていく事は大変ですが、楽しい苦しみだと思います。
4.過去にあった思い出深いエピソードは?
デザイン作業は、デザインだけではなく、ときには色にこだわるお客様も意外と沢山いらっしゃいます。
そのため、デザインよりも色合わせに時間が掛かることも結構ありました。そういった畑違いの仕事で苦戦したときの方が、記憶に残っています。
…とある仕事で、お客様の雑誌広告の依頼がありました。
そのお客様は、緑バック中心のメイン写真の緑色をどうしても「指定の色にしたい」というこだわりがあったのですが、4色カラーの世界では出せないものでした。
自分の出来る限りのスキル、そして、時には教則本で学習しながらオペレーションを行い、印刷の担当者と「ああでもない。」「こうでもない。」と議論を交わして、あらゆる手段を試しました。
5回目の印刷で、お客様の好みの色が出てOKを頂いた時は、徹夜をした甲斐がありました。
また、使用したい旧字が、どうにもパソコンには無く、トレースをして良く旧字を作成して対応するなど、前工程、後工程の大変さや深さが学びました。
デザイン作業を長年している中で、畑違いの仕事もありますが、頑張れば意外と出来るものです。
いまは働き方改革もあるので「根詰めて、徹夜してでも…」といった仕事はありませんが、その経験が、今の経験値となっていたりもしています。
5.この業界のデメリットは何?
DTP業界は、全盛期に比べると、紙媒体も減ってきているのは紛れもない事実です。
アプリケーションを作る側も、以前であれば紙媒体中心のデザイナー・クリエイター寄りに作られていたものが、今はWEB要素も盛り込まれたものに変化しています。
…と言うよりも、WEBへの移行の裏付けでもあるのです。
WEBデザイナーも物凄い勢いで増加傾向です。紙媒体に特化したデザイナーは、数十年後には、ごく僅かになっているのかも知れません。
そういう意味では、少し先ではなく、中期的な先を見据えて、これからデザイン業界を目指す人は、紙媒体の知識や技術がベースである事を前提に、WEBも学ぶ事が不可欠になっていくと思います。
また、WEBを勉強して、この先、損は絶対にありません。
紙媒体だけの特価した学習は、勿論、大事だと思いますが、せっかくの学んだスキルがそれではもったいないと思っています。
紙媒体の学習だけではなく、紙媒体の知識や技術の上にWEB技術があると、逆に紙媒体の知識はメリットに変わると思っています。
6.今後、この業界に入社予定の人にアドバイス
どんな職業も一緒だと思うのですが、何でも基本が大事だと言う事で、土台がしっかりしていないと、柱が建ってもグラついてしまいます。
最初から高度なものを狙わないと言う事と、アプリケーションに頼り過ぎないと言う事は重要だと思っています。
我々の業界の30年前は、自分のイメージにアプリケーションが追いついていなかった為、そのイメージを出来るだけ、形にするために、本に載っていない様な組合せをすると言う知恵で勝負していました。
でも今は、10個の工程が掛かっていたものが、3個の工程で済んでしまう位、アプリケーションの性能があがりました。
とても良い事でもある反面、頼り過ぎる面も出てきます。
シンプルでも良いものは良いものですし、手の込んだものでも、デザインの力かアプリの力かは、見ている人にバレます。
だから、これからの時代は、デザイン力とアプリのスキル力の両方を武器に出来た人が、求められていくのかなと思っています。
私の仕事は広告を作成する仕事です。
ただデザインと言っても幅広いですね。
ゼロから作り上げていく仕事もあれば、素材を預かり、自分でイメージを膨らまして作り上げていく仕事もありますし、お客様が作られたものをカスタマイズしていく仕事もあります。